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再就職女性の採用が、企業価値の向上につながる
~ソウルドアウト・宮武 宣之さんインタビュー

2021年2月26日

「もう一度働きたい」

育児や介護、パートナーの転勤などで一度は離職した女性たちの、そんな思いに応えるプロジェクトがスタートしています。

今、需要が高まっているWebマーケティングの知識とスキルをオンライン講座で身に着け、再就職や仕事の獲得を目指す「WEBマ女子プロジェクト」です。

今年で3回目になるこの講座。過去の受講生の中には、実際に就職したり、就職が内定した女性もいるそうです。

受講した女性たちの変化や、企業にとって、もう一度働きたい「ワークアゲイン人材」を活用することはどんなメリットがあるのか、プロジェクトを主催するソウルドアウトグループ、ソウルドアウト株式会社執行役員の宮武宣之さんに聞きました。

※WEBマ女子プロジェクトは、SO Technologies株式会社(ソウルドアウトグループ)と、サーキュラーHRを運営する株式会社Warisが連携して提供するプロジェクトです。女性だけでなく男性をはじめ性別を問わず参加を歓迎しています。

オンラインで実践的にWebマーケティングを学ぶ

ーー初めに、WEBマ女子プロジェクトをスタートした経緯を教えてください。

宮武宣之さん(以下、敬称略):私たちソウルドアウトグループは、地域経済を活性化することを目指しています。具体的には、地方の中小企業やベンチャー企業の集客やマーケティング、人材採用の課題を解決するための事業を展開しています。

今、地方の中小企業でもWeb広告を運用できる人材の需要が高まっているのですが、採用や教育にかかるコストの問題もあり、十分な採用ができているとは言えない状況です。そこで、以前から女性の再就職支援に取り組んでいるWarisと協力し、当社が積み上げてきたマーケターを育てるためのノウハウを活用して、再就職を目指す女性たちをサポートし、さらに地方企業の活性化につなげようと考えました。

ーー2019年からプロジェクトをスタートして、この春3回目の募集が始まるそうですが、過去2回の講座はどんな方たちが受講していたのですか?

宮武:子育て中の方や介護をしている方、育児が一段落してこれから再就職をしたいと考えている40代前後の女性が多かったですね。社会人経験があり、スキルを学ぶことへの強い意欲を持った方たちと、コミュニケーション力や責任感が求められるWebマーケティングの仕事は相性がいいと感じています。

ーーコロナ禍で、オンラインでスキルを学べる講座は増えていますが、ほかの講座とどんなところが違うのですか?

宮武:グループ内に広告代理事業を持っているので、実際のWeb広告入稿画面を使って、入稿までの流れを実践的に学ぶことができるのは大きな特徴です。1人につき6回までメンターからのフィードバックを受けられるので、理解できていない部分を細かくチェックすることができ、安心できたという声もいただいています。

<実際のフィードバックの様子>

身につけたスキルを活かし、リモートで就業

ーー実際に再就職が決まった方もいるそうですね。

宮武:講座を修了した後、希望者を対象に就業サポートを行ったのですが、そのうちおよそ3割がWebマーケティング企業に就職したり、就業が内定したりしています。私も人材開発の仕事に長く携わっていますが、これは驚異的な数字だと思います。コロナ禍でリモートワークを導入する企業が増えたことも、修了生が柔軟な働き方で就業する上では追い風になりました。

ーー就業先はどんな会社なのですか。

宮武:たとえば、家族の介護をしながら働きたいという都内在住のAさんは、講座修了後、オンラインで北陸の会社の仕事をしています。メーカーの広告運用業務なので、当初はリモートワークではコミュニケーションに限界があるのではないかという懸念もありましたが、Aさんは他部署の方ともコンタクトをとり、得た情報をマーケティングに活かすなど、積極的な姿勢が高く評価されています。

また当社(ソウルドアウト株式会社)でも、育児と仕事の両立を目指して受講したBさんが契約社員として働いています。半年間でGoogle、Yahoo、Facebook広告の運用をマスターし、現場から驚きの声が上がりました。現在は正社員への登用も検討しています。今年、社内の若手の中でMVPとして表彰された女性は、受賞コメントで「Bさんが私のロールモデルです」と言っていました。Bさんの業績はもちろんですが、彼女の存在自体が、組織の多様性にとてもいい影響を与えていると思います。

ほかにも、沖縄在住のCさんが、大阪のWeb広告代理店にリモートでフルフレックス勤務することが決まるなど、次々に結果が出ています。企業側からも「こんな人材をあと10人採用したい」などの声をいただいています。

 

「働きたい」と願う女性たちに学び直しと就労の機会を提供する

ーーめざましい活躍ですね。修了生は、やはり働きたいという強い思いを持った方が多いのでしょうか。

宮武:私たちも、初めは仮説をもとに手探りで講座をスタートしたのですが、これほど能力が高い、働く意欲のある女性たちが、今までその経験を活かせる場所がなかったという事実に驚きました。この講座で起こっていることは氷山の一角で、社会全体で見ると非常に多くの女性が、自分の価値に気づけないまま働くことをあきらめているのだと思います。

ビジネスとして成り立つことはもちろん大切です。ただ、それ以上に、事情があって会社に縛られる働き方ができない女性たちに学び直しや就労の機会を提供すること、さらに彼女たちの活躍を通じて地方の企業を活性化することで、社会を変えていくきっかけになればと考えています。

ーー私たちは「サーキュラーHR」というプロジェクトを通じて、「人」という資源がめぐり、育つ社会を循環したいと考えています。一度は離職した女性が学び直し、再就職することができるWEBマ女子プロジェクトは、サーキュラーHRの考え方と非常に親和性が高いと感じます。

宮武:サーキュラーHRの考え方は、ソウルドアウトのポリシーである地方経済を活性化することにも通じますね。全面的に応援したいと思います。

ーーありがとうございます!

再就職女性の採用を増やすことが、企業の生産性向上につながる

ーーこれからの時代、企業がワークアゲイン人材を採用することには、どんなメリットがあると思いますか?

宮武:教育研修の初期コストを抑えて優秀な人材を採用できることは大きなメリットです。再就職女性は、スキルを習得する意欲や真剣さ、学びのスピード、仕事に向かう姿勢も明らかにレベルが高いので、戦略的に再就職女性の採用数を増やすことが、生産性を上げることにつながるのではないでしょうか。

また、広告業界は総じて労働集約的で、女性が安心して家庭と両立して活躍できる環境の整備にはまだまだ発展途上です。そんな中、いち早く女性がスキルを活かして柔軟な働き方で活躍する事例を作ることができれば、さらに優秀な人材を採用することにつながるでしょう。ESG経営(※)という視点から見ても、企業価値を高めることになると思います。

※ESG経営…環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に配慮した経営スタイル。

ーー現在はコロナ禍でリモートワークを導入する企業が増え、働き方の柔軟性も高まっていますが、コロナの流行が収束したら、またオフィス中心の働き方に戻ってしまうのでしょうか?

宮武:元に戻ることはないと思います。働き方の変化はこれからも加速し、会社に縛られない多様な働き方が当たり前になっていくでしょう。企業にとっては、リモートワークを推し進めることで経費を削減することができます。その分、人材採用や従業員満足度を高めるための投資をすれば、会社にとっても大きなメリットになるはずです。

年齢にかかわらず、自分の価値は新しく作ることができる

ーー最後に、再就職に興味があるけれど、自信がない、キャリアにブランクがあるなどの理由で一歩踏み出せない女性に向けて、メッセージをお願いします。 

宮武:人には必ず、それぞれの「持ち味」や価値があります。そして自分の価値は、これまでの経験や年齢にかかわらず、これから学んでいくことで、新しく作っていけるものではないでしょうか。 

たとえばWEBマ女子プロジェクトであれば、自分のお金を使って広告運用を学んだという事実だけでも、応募先の会社に本気度が伝わります。再就職では年齢を気にされる方も多いのですが、今回のプロジェクトでは、就業先候補となる企業と、一度も年齢の話はしていません。講座の最後に行う修了認定試験のスコアという客観的なデータがあるので、より説得力のある形で、その人の持ち味や価値を相手に伝えることができます。 

自信を持って一歩踏み出してもらえるよう、私たちもしっかりサポートしていきますので、興味がある方はぜひ応募してもらえたら嬉しいですね。 

ーー今日は元気が湧いてくるお話、ありがとうございました。

 

<サーキュラーHRへのヒント>

  • 地方の中小企業でもWeb広告を運用できる人材の需要が高まっているが、採用や教育にかかるコストの問題もあり、十分な採用ができない状況が続いている。
  • 社会人経験があり、スキルを学ぶことへの強い意欲を持った再就職女性と、コミュニケーション力や責任感が求められるWebマーケティングの仕事は相性がいい。
  • 再就職女性の採用数を増やすことで、企業は教育研修の初期コストを抑え、生産性を上げる事ができる。
  • 働き方の変化はコロナ後も加速し、会社に縛られない多様な働き方が当たり前になっていく。 

【プロフィール】

ソウルドアウト株式会社 執行役員 人事総務本部長 

株式会社グロスギア 取締役 

宮武 宣之 

1978年生まれ。大学卒業後、人材サービス会社、起業を経験し、株式会社リクルートエイブリック(現:株式会社リクルートキャリア)に入社。 営業、営業企画、営業マネジメントを経験し、主に"戦略的な採用を可能にするための営業人材育成"に従事。その後 「人」と「組織の課題解決」を軸に人事職へ転身。株式会社ドリコム、株式会社ミスミグループ本社、サトーホールディングス株式会社等のベンチャー及び大手企業にて採用、人材開発、タレントマネジメント、人事企画等幅広く人事及びマネジメント業務を経験。 2019年1月より、執行役員本部長として当社に参画。人事総務本部を管掌。

 

※この記事は2021年2月に作成いたしました。

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